遺産分割協議を進めている途中に、他の相続人から遺産分割調停を申し立てられることがあります。
遺産分割の話し合いが行き詰った段階で申し立てられることもあれば、特段の予告や前振りなく申し立てられることもあります。
他の相続人が遺産分割調停の申立てをすれば、裁判所から遺産分割調停の申立書などの書類が送られてきます。
その場合には、無視・放置をしたり、慌てて性急な対応をしたりするのではなく、まずは専門家である弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。
家庭裁判所から送られてくる書類
遺産分割調停が申し立てられると、裁判所から以下のような書類が届きます。
□遺産分割調停の申立書(写し)
□調停期日の通知書
□進行に関する照会回答書
実際に届く書類は、管轄の裁判所によって若干異なります。
調停の期日を無視・放置してはいけません
調停の期日を無視・放置して欠席しても、遺産分割調停は開かれます。
調停委員は、その期日に出席している当事者だけから話を聞きます。
しかし、欠席を続けていると、話し合いができないため調停での解決が難しくなりますし、自分の主張を聞いてもらえず、調停委員の心証も悪くなるなどのデメリットがあります。
そのため、調停の期日を無視・放置してはいけません。
裁判所が指定した第1回の調停期日にどうしても出席できなければ、調停期日の延期の希望を出すことや、第2回の調停期日の日程調整をすることも可能です。
また、裁判所が遠方にある場合や高齢のため裁判所への出頭が難しい場合などには、弁護士を代理人に立てて電話会議の方法で参加することもできます。
遺産分割調停のポイント
以下では、遺産分割調停を申し立てられた場合の対応のポイントをご説明させていただきます。
調停期日の流れ
第1回の調停期日は、裁判所により指定されます。
調停期日には裁判所に出頭し、調停委員にご自身の主張を伝えます。
裁判所では、調停委員が話し合いを仲介し、各当事者から主張を聞きながら、合意の成立を目指して話し合いを進めていきます。
調停での話し合いは、当事者全員が同じ部屋で議論を交わすのではなく、調停委員が一人から話を聞く際には、他の相続人は別室で待機することとなります。
そのため、他の相続人と顔を合わせることはないのが通常です。
調停期日は1回で終わるのではなく、1~2か月に1度くらいのペースで期日を積み重ねて合意の成立を目指し、相続人全員が合意に至れば調停成立となります。
調停が成立すると、裁判所により調停調書が作成され、調停調書に従って預金の解約や不動産の名義変更などの処理が可能となります。
調停調書に従った代償金などの支払が履行されなければ、強制執行も可能という法的効力があります。
有利に進めるためのポイント
調停を有利に進めるためには、ご自身の利益を最大限確保することができるように法的主張を丁寧に組み立てることが必要です。
また、そのような法的主張を裏付けるための証拠資料を提出していくことも重要です。
その際には、調停がまとまらずに審判に移行した場合のことを見据えながら、調停の手続に対応することも大切です(審判については、後述します)。
なぜなら、調停を進める調停委員を取りまとめる裁判官は、審判に移行した場合には、そのまま審判の審理を担当する裁判官となるからです。
そのため、調停の段階で不利になっている場合には、審判で不利な状況を覆すことは通常は難しいということになるのです。
弁護士に依頼するメリット
調停では、証拠資料を提出しながら法的主張を組み立てること、審判に移行した場合を見据えながら調停の手続に対応していくことが大切です。
調停の手続を有利に進めるためには、法的知識が非常に強く要求されますし、調停委員を介した交渉も容易なことではありません。
そのため、法律の専門家である弁護士に調停の手続を依頼するメリットは非常に大きいと言えます。
遺産分割審判について
遺産分割調停がまとまらなければ、遺産分割審判の手続へ移行します。
以下では、遺産分割審判について、ご説明させていただきます。
審判の手続
遺産分割は、相続人全員の合意がなければ、成立させることができません。
調停において相続人全員の合意に至らなければ、審判の手続へ移行します。
審判も調停と同じく家庭裁判所での手続であり、1~2か月に1度くらいのペースで期日が開かれます。
審判と調停の違い
調停では、調停委員が各相続人の主張を聞きながら、合意の形成に向けて話し合いのサポートを進め、相続人全員が合意に至れば調停成立となります。
審判では、裁判官が各相続人の主張を聞いたうえで、証拠資料に照らして審判(遺産分割の内容を指定する裁判官の判断)を下します。
審判で下された内容は法的な強制力を持ち、審判書に従って預金の解約・不動産の名義変更や強制執行も可能となります。
このように、調停は合意の成立を目指す話し合いの手続であるのに対し、審判は各相続人の主張と証拠資料を踏まえて裁判官が判断を下す手続です。
審判が終了したあとの手続
審判の手続が終了すれば、原則として審判の内容に従って相続手続(預金の解約・不動産の名義変更・代償金の支払など)を進める必要があります。
審判の内容に不服があるのであれば、2週間以内に「即時抗告」の申立てをしなければなりません。
即時抗告の手続には、法的な専門知識が不可欠であるため、法律の専門家である弁護士にご依頼いただくのがよいでしょう。
当事務所のサポート
当事務所では、他の相続人から遺産分割調停を申し立てられてお困りの方に、以下のような法的サポートを提供させていただいております。
初回無料相談
当事務所では、相続問題に関するご相談は、初回無料でお受けしております。
お客様のお悩みを弁護士が丁寧にお聞きし、適正な解決に向けたご提案をさせていただきます。
調停期日の準備・出席対応
当事務所の弁護士が調停期日に向けた事前のお打ち合わせ、必要となる証拠資料の整理などをサポートさせていただきます。
また、調停期日にはお客様の代理人として裁判所に出頭し、お客様の主張を調停委員に伝えながら、お客様にとって有利に進められるように交渉いたします。
審判に移行したときのサポート
審判の手続では、法的主張の構成が重要となり、法律の専門家である弁護士のサポートが不可欠でしょう。
ご自身だけで審判の手続に臨むのではなく、弁護士と相談しながらご自身の希望を実現するための法的主張をしっかりと組み立てていくことが大切です。
当事務所では、相続問題を多数取り扱っており、遺産分割に関する経験と実績が豊富にございますので、審判に移行したときにも力強くサポートさせていただくことが可能です。
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