相続における預金

預金は相続財産のうちで最も典型的なものです。
預金の取り扱いは相続手続において中心的な問題点となることが少なくありません。
したがって、相続の問題については、まずは相続手続における預金の取り扱いに精通した弁護士にご相談されると良いでしょう。

名義預金・へそくりについて

名義預金

名義預金とは、被相続人が配偶者や子どもの名義で開設した預金口座のことを言います。
親が子どもに預金を残してあげるために、子どもには内緒でお金を積み立てているケースも少なくありません。

名義預金については、被相続人が自分のお金と思って貯めていたものとして遺産に当たるのか、あるいは子どもなどの名義人に贈与する趣旨で貯めていたものとして名義人のものとなるのか、といった争いの種になることがあります。
したがって、名義預金を作ることは、あまりお勧めできません。

このような紛争が発生し、相続人間の協議で解決できない場合には、「遺産確認の訴え」という裁判手続での決着を図ることになります。
裁判手続では、預金の資金源、管理状況、その名義とされた理由などの諸般の事情を総合して、遺産分割の対象となるか否かが判断されます。

へそくり

主婦の方の中には、夫の収入で家計をやりくりして、「へそくり」を作っているケースがあります。
この「へそくり」の存在についても、相続手続の際に問題となってきます。

法律上、夫が働いて得た収入を財源とする「へそくり」であれば、それは夫の個人財産であると評価されます。
したがって、夫が亡くなった場合は、「へそくり」も夫の遺産として、遺産分割や相続税の対象となるのです。
したがって、相続との関係では、夫に内緒で「へそくり」を作るのではなく、お小遣いとして受け取るのが得策です。

預金口座の相続手続

銀行などの金融機関は、被相続人が死亡したことを知ると、被相続人の名義の預金口座を凍結します。
そうなると、基本的に、預金の払戻、公共料金の引落、家賃の受取などができなくなってしまいます。
そこで、被相続人が死亡したことを金融機関に連絡する前に、葬儀費用など必要な資金の準備、公共料金の引落口座の変更、家賃の振込先口座の変更通知などの手続を済ませておきましょう。
2019年7月施行の民法改正により、遺産分割前でも相続人が単独で一定金額まで預金の払戻ができるようになりましたので(遺産分割前の預金の払戻制度)、この制度を活用して葬儀費用などの準備をすることも考えられます。

また、遺産分割がまとまると、預金口座の相続手続として、必要書類を準備のうえ、預金の解約または名義変更を行います。
相続人の代表者が一括して受け取ることもできますし、相続する相続人が各自受け取ることもできます。
必要書類としては、遺産分割協議書、被相続人および相続人全員の戸籍謄本類、相続人全員の印鑑証明書などがありますが(遺産分割が協議でまとまった場合)、金融機関によっても多少異なりますので、被相続人の預金口座がある金融機関に個別に確認のうえで進めていくことになります。

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預金

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●相続における預金について
●預金の分割方法
●預金口座の開示請求
●遺産分割前の預金の払戻