婚外子とは、結婚していない男女の間に生まれた子のことを言います。
例えば、結婚前に交際していた男性(女性)との間の子や、結婚している男性(女性)とその不倫相手との間の子が、婚外子にあたります。
それでは、婚外子は、遺産分割においては、どのような立場に置かれるのでしょうか?
例えば、被相続人の戸籍謄本類を確認したところ、婚外子がいることが判明した場合、その後の遺産分割はどうなるのでしょうか?

まず、婚外子は、被相続人の子である以上、相続人となります。
そして、遺産分割協議は、相続人全員で成立させなければならず、相続人のうち一人でも欠けた遺産分割協議は、無効となってしまいます。
したがって、婚外子がいる場合には、その婚外子を含めた上で遺産分割協議を成立させる必要があります。
そうしなければ、遺産分割協議に加わらなかった婚外子から、後々、遺産分割協議のやり直しを求められてしまうことにもなりかねません。

通常、遺産分割を行う際には、まずは戸籍謄本類を取り寄せ、その内容を確認して、相続人の範囲を確定させることになります。
婚外子がいる場合には、戸籍謄本類の中に婚外子がいる旨の記載がありますから、この段階で婚外子の有無が判明します。
したがって、戸籍謄本類を取り寄せて確認する際には、婚外子の存在を見落とさないように注意しなければなりません。

なお、特殊なケースですが、戸籍謄本類を確認しても、婚外子の存在が判明しない場合もあり得ます。
それは、父がその婚外子を認知していない場合です。
父と婚外子との法的な親子関係は、父が婚外子を認知することによって生じます。
そのため、父が認知をしていない場合には、その婚外子は法的には父の子としては扱われず、戸籍謄本類にも父子の親子関係が表示されません。
このような場合、認知を受けていない婚外子は、父の死後3年間は、認知の訴え(裁判)を提起することができます。
そして、認知の訴えが認められた場合には、その婚外子は父の子であるものと認定され、父の相続人としての地位を得ることになります。
もっとも、婚外子の認知の訴えが認められた時点で、既に他の相続人らで遺産分割協議が成立してしまっていることも十分に考えられます。
このようなケースでは、法律上、遺産分割協議のやり直しまでは認めず、その婚外子の相続分に応じた価格賠償(金銭の支払による精算)を行うことと定められています。

次に、婚外子がいることが判明したとして、その婚外子は相続においてどのような権利を有するのでしょうか?
この点、婚外子は、あくまでも被相続人の子という地位にあるため、相続人としての立場は、結婚している両親の子と同じということになります。
つまり、婚外子の法定相続分は、結婚している両親の子の法定相続分と同じ割合ということになります。
そのため、実際に遺産分割協議を行う際には、その相続分に配慮して協議を進めなければなりません。

なお、遺産分割の調停や審判を申し立てる際にも、協議の場合と同様に、婚外子を当事者として加えなければなりません。

繰り返しになりますが、遺産分割にあたっては、戸籍謄本類をきちんと収集・精査し、婚外子がいるかどうかを確認しなければなりません。
そして、婚外子がいることが判明した場合には、その婚外子に連絡を取るなどして、その婚外子を含めて遺産分割の手続を進めていかなければなりません。
しかし、相続人の方が、戸籍謄本類を収集・精査したり、婚外子に対して連絡を試みたりすることの負担は大きく、困難や不安を伴うことも多いと思います。
そのため、婚外子がいる可能性がある場合や、戸籍謄本類を確認したところ婚外子がいることが判明した場合、婚外子を名乗る人物から連絡があった場合などには、まずは相続の専門家である弁護士にご相談されることをお勧めします。

当事務所の弁護士は、婚外子がいるケースをはじめ、遺産分割の問題を解決に導いてきた実績が多数ございます。
遺産分割の問題でお困りの方がいらっしゃいましたら、お気軽に当事務所にご相談ください。

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