遺言書を作成するときに注意しなくてはならないのが、遺留分です。兄弟姉妹以外の相続人には、遺言の内容にかかわらず、遺産の一定割合を取得できる権利が保障されています。相続人に保障されたこの最低限の取り分のことを遺留分といいます。そして、遺留分を無視(侵害)して不平等な遺言書を作成した場合、後に相続人同士で遺留分をめぐるトラブルになる可能性があります。

例えば、遺言書を作成する方に妻と子2人がいて、「全財産を妻に相続させる」という遺言書を作成したとします。この場合、法定相続分は、妻2分の1、子がそれぞれ4分の1ずつとなります。そして、子2人の遺留分は、それぞれ、法定相続分1/4の半分にあたる1/8ずつとなります。そうすると、全財産を妻に相続させる内容の遺言書があっても、子2人から遺留分減殺請求がなされると、妻は、遺産の1/8ずつを子に引き渡す必要があります。さらに、遺産が不動産だけで、現金や預貯金のような直ちに遺留分の支払にあてられる財産がないと、妻にかえって負担をかけることにもなりかねません。

このように、遺留分を侵害して遺言書を作成した場合、いざ相続が始まった時に、遺留分減殺請求がなされ、相続人同士でトラブルになる可能性があります。そのため、遺言書を作成する際には、初めから遺留分に配慮することが大切です。それぞれの相続人に対して、最低でも遺留分に相当する財産を与えるようにするなどの対策が必要となってくるのです。

また、遺留分を侵害する遺言書をあえて作成する場合には、遺留分をめぐるトラブルが起きることを防ぐために、生前に話し合ってそれぞれの相続人から理解・納得を得ておく、遺言書の中にそのような内容とした理由を付記するなどといった対策が考えられます。

遺留分に配慮した遺言書を作成するには、遺産はいくらで遺留分はいくらくらいになるのか、どの資産を遺留分に相当する財産として与えるか、といった様々なことを考慮する必要があります。意図したとおりの相続を実現するためにも、相続人同士のトラブル発生の不安を解消するためにも、遺言書を作成するときは、専門家である弁護士にご相談されることをお勧めします。

(弁護士・山口龍介)

八戸シティ法律事務所の弁護士が書いたコラムです。

No 年月日 コラム
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2 H28.10.11 相続・遺言に関するご相談は初回無料です。(弁護士・木村哲也)
3 H28.10.25 相続トラブルは一部のお金持ちに限った話ではありません。(弁護士・木村哲也)
4 H28.11.8 遺産分割はお早めに(弁護士・木村哲也)
5 H28.11.22 特別受益や寄与分が認められることの難しさ(弁護士・木村哲也)
6 H28.12.13 遺留分(遺留分減殺請求)の制度をご存知ですか?(弁護士・木村哲也)
7 H28.12.26 相続における預貯金の取り扱いについて、従来の判例が変更され、審判で遺産分割できるとの判断が示されました。(弁護士・山口龍介)
8 H29.3.2 家族信託についてのセミナーを受講しました。(弁護士・山口龍介)
9 H29.3.21 不動産の遺産分割の方法について(弁護士・山口龍介)
10 H29.3.30 相続税の節税目的での養子縁組は有効かどうかが争われた裁判で、これを有効と認める最高裁判所の判断が示されました。(弁護士・三上大介)
11 H29.4.26 船井総研の民事信託実務研修を受講しました。(弁護士・木村哲也)
12 H29.5.26 続・遺産分割はお早めに(弁護士・木村哲也)
13 H29.6.30 法定相続情報証明制度について(弁護士・三上大介)
14 H29.9.20 遺言書を作成するときは、遺留分に配慮しましょう。(弁護士・山口龍介)
15 H30.6.11 相続放棄は弁護士にご相談ください。(弁護士・木村哲也)
16 H30.8.21 お盆期間中に相続に関する話し合いをされた方へ(弁護士・木村哲也)
17 H30.10.3 高齢親の「囲い込み」の禁止命令が横浜地方裁判所で出されました。(弁護士・木村哲也)