1 遺産分割の話し合いにかかる期間は?

一定の関係にある親族が亡くなった場合、その遺産の分配を決めるためには、遺産分割を行う必要があります。
この遺産分割ですが、次の3つの方法によって行うことができます。
それぞれの方法について、どの程度の時間がかかるのかご説明いたします。
(1)協議の場合
協議によって遺産分割を行う際、裁判所に申立てを行わずに、相続人同士で話し合って遺産の分割方法を決めることになります。
裁判所を利用しないため、早期に解決を図ることができます。
事案によって異なるところですが、早ければ相続開始から1か月もかからずに、協議が成立することもあります。
一方で、遺産の種類や金額が多いなどの複雑な事案では時間がかかり、2~3か月程度、あるいはそれ以上の時間を要することもあります。
また、遺産の範囲に争いがある場合、相続人が誰か争いがある場合や、寄与分や特別受益といった特別な考慮事情を主張する相続人がいる場合には、協議であっても長引く傾向にあります。
このような特殊な事情があるために相続人で合意ができないという場合、いくら時間が経過しても協議によっては遺産分割を成立させることはできません。
そこで、次の調停や審判といった、裁判所を利用する方法を検討することになります。
(2)調停の場合
調停は、裁判所に申し立てを行う手続きとなります。
裁判所を利用することにはなりますが、調停という言葉のとおり、話し合いによる手続きとなります。
あくまで話し合いですので、相続人全員の合意がなければ調停を成立させることはできません。
そのため、相続人が一人でも反対した場合には、調停によっても遺産分割を解決することはできないということになります。
もっとも、調停は、裁判所の調停委員が間に入って、相続人の言い分を個別に聞いていきます。
その言い分に基づき、法的な観点から妥当な遺産分割の方法を提案されることになります。
調停委員は、1名の裁判官と共に調停委員会を構成しています。
この調停委員会が、妥当な遺産分割の方法を提案することになります。
このような構造から、基本的に調停委員会が提案する遺産分割の方法は、裁判官が法的な観点から見て妥当と判断したものとなります。
そのため、次の審判に移行した場合であっても、同様の結論となると考えてよいケースが多いといえます。
相続人としては、この点を強く意識して調停に応じることになりますので、合理的な判断をする相続人であれば、調停による遺産分割に応じる例が多いです。
調停による遺産分割においては、調停委員が相続人の言い分を個別に聞いて遺産分割の方法を決めていくことになりますので、ある程度の時間が必要になります。
一番短い期間であっても、調停の申立てから2か月はかかることになります。
長い場合だと、1年以上の期間がかかることもあります。
しかし、調停はあくまで話し合いですので、相続人の全員の同意を得られない場合には、次の審判による遺産分割に移行することになります。
(3)審判の場合
調停が成立せずに終わる場合、自動的に、審判による遺産分割の手続きに移行することになります。
審判とは、相続人の主張や証拠に基づいて、裁判官が一刀両断的に遺産分割の方法を決める手続きとなります。
裁判官の公権的な判断となりますので、適切な不服申立手続きによらない限り、その判断が法的に確定することになります。
調停でも遺産分割ができない場合には、国家機関である裁判所がこれを解決するほかありませんので、審判の手続きが設けられているのです。
このように、調停が不成立になってから審判に移行することになるという構造上、審判に必要な期間は調停不成立になった日から起算することとします。
そして、裁判所の対応速度にもよりますが、一般的には調停不成立から3か月程で審判の判断が出ることになります。
審判の結果、内容に不服があり即時抗告といった不服申立ての手段を用いる場合には、さらに時間がかかることになります。
即時抗告を行った場合、高等裁判所が判断することになりますが、その期間は、即時抗告の申立てから半年から1年程で結論が出るのが多いと思います。
なお、いきなり審判の申立てを行うことはできません。
調停を経て、それでも遺産分割が成立しない場合には、審判に移行することになります。
遺産分割は、基本的には相続人同士で話し合いによる解決をすることが望ましいと考えられていることから、制度上、まずは調停を先に行うことになっているのです。
2 遺産分割をスムーズに進める方法
このように、遺産分割は3つの手段によって行うことができます。
それぞれの手続きについて、解決までの速度が異なることになります。
審判まで進む遺産分割は、相続人が深く対立している事案です。
典型的なものとしては、寄与分や特別受益といった、相続分を増減させる事情を主張する相続人がいる場合に、審判までもつれ込むことが多く見られます。
不動産の評価額、株式の評価額といったように、遺産の経済的な評価に争いがあるときにも、審判までもつれ込むことが多く見られます。
寄与分の主張を行う場合、相続人のどのような行為によって、被相続人の財産が減少することなく維持されているのか、証拠に基づいて主張していくことになります。
特別受益の主張を行う場合、どの相続人が相続人の前渡しを受けており、それを金銭的にどのように評価するのか、証拠に基づいて主張していくことになります。
これに対する他の相続人からの反論も行われることになりますので、必然的に手続きが長期化することになります。
そこで、寄与分や特別受益といった細かい争点が予想される場合には、早期に審判移行を目指すため、調停の申立てをできるだけ早く行った方がよいといえます。
一方で、そのような細かい争点がなく、相続人全員の合意が簡単に得られる見込みがある場合には、協議によって遺産分割を成立させることが最善です。
このように、どのような争点が予想されるのかを慎重に検討して、遺産分割の手続きを選択することになります。
3 遺産分割を専門家に依頼するメリット
遺産分割は、手続きの選択を誤ると、解決まで不必要に長い時間を要することになります。
あらゆる事案で調停や審判が必要とされるものではなく、相続人の個別の状況に応じて、適切に手続きを選択する必要があります。
例えば、相続発生前から相続人同士で緊密に話し合いができており、遺産分割の方法についてスムーズに合意ができている場合には、あえて調停や審判まで行う必要はありません。
調停や審判の手続きは、解決まで時間を要することになり、相続人全員の不利益となります。
このようなときには、協議による遺産分割を選択することになります。
一方で、相続発生前から相続人同士の感情的な対立が激しく話し合いができない場合や、寄与分や特別受益の主張が予想される場合等には、協議によって解決しようとしても、いつまでも解決することができません。
そのような場合には、1人の相続人が早期に調停の申立てを行い、裁判所に話し合いの場を移すことが早期解決に繋がります。
このように、適切な遺産分割の方法は事案によって異なりますが、一般の方々が適切に判断を行うことは難しいと思います。
弁護士であれば、相続関係の法律に詳しいうえに、調停や審判といった裁判所の手続きに日常的に関与していますので、事案に即して適切な判断を行うことができます。
そのため、弁護士が関与することにより、より早期に遺産分割を成立させることが期待できます。
4 遺産分割に関するお悩みは当事務所にご相談ください
遺産分割は、法的な観点から専門性が発揮される場面であり、まさに弁護士が関与すべき法律問題です。
当事務所の弁護士は、遺産分割について豊富な経験と知識を有しており、相続人の方々の個別の状況に応じて手続きを選択することが可能です。
その結果、早期解決を図ることが期待できます。
遺産分割についてお困りの方は、お気軽に当事務所までご相談ください。
(弁護士・荒居憲人)









