
相続が発生した際に、被相続人が作成した遺言書が残されていることがあります。
遺言書の内容によっては、理不尽であり、相続人にとって納得できないということもあるでしょう。
今回は、理不尽な遺言書の内容に納得できない場合の対応について、ご説明いたします。
1 よくある理不尽な内容の遺言書とは?
当事務所では、遺言書の記載内容について、ご相談をお受けすることもあります。
理不尽な内容の遺言書としては、被相続人の介護を、一部の相続人が行ってきたのにもかかわらず、介護をしてこなかった“特定の相続人にすべての財産を相続させる内容の遺言”や、明らかに“特定の相続人だけ与えられる遺産が少ない内容の遺言”が挙げられます。
2 遺言書があっても最低限の権利がある
遺言書の記載が法的要件を満たしていない場合や、遺言者の遺言能力に問題があった場合には、遺言の有効性を争うことが考えられます。
仮に、遺言書が、法律上有効であったとしても、一定範囲の相続人には、相続に際して、被相続人の財産の一部を引き継ぐことができる最低限の権利があります。
この権利のことを、遺留分といいます。
各相続人の遺留分として定められているのは、以下のとおりです。
| ①法定相続人が配偶者と子の場合 | 配偶者:1/4 子:1/4 |
| ②法定相続人が配偶者と父母の場合 | 配偶者::1/3 父母:1/6 |
| ③法定相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合 | 配偶者:1/2 兄弟姉妹:なし |
※同順位の相続人が複数いる場合には、人数に応じて均等割りとなります。
3 遺言書の内容に納得がいかない場合の対応
まずは、遺言書の記載が法的要件を満たして作成されているか、遺言者が遺言を作成した当時に遺言書作成能力があったか、といった点を確認し、遺言の有効性を検討することとなります。
そして、仮に遺言が有効であるならば、遺言書により、相続人の遺留分が侵害されているかを検討することとなります。
遺留分が侵害されている場合、遺留分は放っておいても当然にもらえるのではなく、請求の意思を表示する必要があります。
これを遺留分侵害額請求といいます。
遺留分侵害額請求では、遺留分を侵害した相手に対して、侵害された分の金銭を請求することができます。
4 遺留分侵害額請求の流れ
遺留分が侵害されていると知った場合には、知ったときから1年以内に、遺留分侵害額請求をするという意思表示をしなければ、権利が消滅してしまいます。
そのため、遺留分が侵害されていると知った場合に、遺留分侵害額請求をしたいと考える際には、1年以内に、遺留分侵害額請求の意思表示をする必要があります。
遺留分を侵害している相手方が、こちらの請求に対して素直に応じる場合には、早期に解決することが見込まれることとなりますが、相手方がこちらの請求に対して素直に応じないことも考えられます。
相手方が素直にこちらの請求に応じてこないような場合、こちらとしては、裁判所の手続を利用して解決していくことも視野に入れておく必要があります。
その際に、遺留分が侵害されていると知ってから1年以内に遺留分侵害額請求の意思表示をしたということを、客観的な証拠として保管しておく必要があります。
そこで、相手方が素直にこちらの請求に応じてこないような場合には、郵便局が発送した日時や記載内容を証明してくれる内容証明郵便を利用して、相手に対して遺留分侵害額請求の意思表示をしておくべきでしょう。
その後、相手方と交渉して、話し合いがまとまらない場合、調停委員という中立の第三者を交えた話し合いの手続である遺留分侵害額請求調停や、遺留分侵害額請求訴訟を提起して解決を図ることとなります。
ここで、1点注意すべきことがあります。
遺留分侵害額請求をする前に、遺言書の有効性を争いたいと考えるケースもあるでしょう。
この場合、遺言書の有効性を争っていたからといって、遺留分侵害額請求の権利行使期間である1年の期間は延長されません。
他方で、遺留分侵害額請求の意思表示をしたからといって、遺言書が有効であると認めたことにはなりません。
そのため、遺留分侵害額請求をする前に、遺言書の有効性を争いたいと考える場合、遺留分侵害額請求の時効が完成してしまわないよう、先に遺留分侵害額請求の意思表示をしておくべきでしょう。
5 遺留分侵害額請求を弁護士に依頼するメリット
遺留分侵害額請求を弁護士に依頼すると、遺言書の有効性、遺留分侵害の有無、侵害されている遺留分の金額など、専門的な知識に基づくアドバイスを受けつつ、遺留分侵害額請求をしていくことができます。
そして、弁護士が窓口となって、示談交渉、調停手続、訴訟手続を進めていくことができるので、遺留分侵害額請求にかけるご自身の時間を節約できるとともに、直接相続人と話をすることなく進めていくことができるので精神的な負担も軽減することができます。
6 遺留分に関するお悩みは当事務所にご相談ください
相続は、家族や親族間の争いですので、トラブルが発生した際に、直接家族や親族と話をすること自体が、大きな精神的ストレスとなるように思います。
被相続人が遺言書を残している場合や、遺留分に関してお悩みの方は、ぜひ一度当事務所の弁護士にご相談ください。
(弁護士・畠山賢次)









