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遺言書を作成するときに注意しなくてはならないのが、遺留分です。
兄弟姉妹以外の相続人には、遺言の内容にかかわらず、遺産の一定割合を取得できる権利が保障されています。
相続人に保障されたこの最低限の取り分のことを遺留分といいます。
そして、遺留分を無視(侵害)して不平等な遺言書を作成した場合、後に相続人同士で遺留分をめぐるトラブルになる可能性があります。

例えば、遺言書を作成する方に妻と子2人がいて、「全財産を妻に相続させる」という遺言書を作成したとします。
この場合、法定相続分は、妻2分の1、子がそれぞれ4分の1ずつとなります。
そして、子2人の遺留分は、それぞれ、法定相続分1/4の半分にあたる1/8ずつとなります。
そうすると、全財産を妻に相続させる内容の遺言書があっても、子2人から遺留分侵害額請求がなされると、妻は、遺産の1/8ずつを子に引き渡す必要があります。
さらに、遺産が不動産だけで、現金や預貯金のような直ちに遺留分の支払にあてられる財産がないと、妻にかえって負担をかけることにもなりかねません。

このように、遺留分を侵害して遺言書を作成した場合、いざ相続が始まった時に、遺留分侵害額請求がなされ、相続人同士でトラブルになる可能性があります。
そのため、遺言書を作成する際には、初めから遺留分に配慮することが大切です。
それぞれの相続人に対して、最低でも遺留分に相当する財産を与えるようにするなどの対策が必要となってくるのです。

また、遺留分を侵害する遺言書をあえて作成する場合には、遺留分をめぐるトラブルが起きることを防ぐために、生前に話し合ってそれぞれの相続人から理解・納得を得ておく、遺言書の中にそのような内容とした理由を付記するなどといった対策が考えられます。

遺留分に配慮した遺言書を作成するには、遺産はいくらで遺留分はいくらくらいになるのか、どの資産を遺留分に相当する財産として与えるか、といった様々なことを考慮する必要があります。
意図したとおりの相続を実現するためにも、相続人同士のトラブル発生の不安を解消するためにも、遺言書を作成するときは、専門家である弁護士にご相談されることをお勧めします。

(弁護士・山口龍介)

相続問題無料相談

当事務所の弁護士が書いたコラムです。

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19 R1.5.27 バックアッププランのご案内(弁護士・木村哲也)
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22 R3.8.6 相続登記が義務化されます。遺産分割が済んでいない方はお早めにご相談ください。(弁護士・下山慧)
23 R3.9.30 法改正:特別受益・寄与分の期限について(弁護士・下山慧)
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