はじめに

遺産相続をめぐる争いの一つに、遺産分割協議の存否・効力に関する争いがあります。
従前の遺産分割協議の不存在・無効を主張する相続人は、その不存在・無効を前提に改めて遺産分割協議を行うことを希望するでしょう。
しかし、相続人間で遺産分割協議の存否・効力に関する争いがある場合には、調停や訴訟(裁判)によって解決を図る必要があります。
以下では、遺産分割協議の存否・効力に関する調停・訴訟について、ご説明させていただきます。

遺産分割協議不存在確認の調停・訴訟

遺産分割協議の不存在を主張する訴訟として、遺産分割協議不存在確認の訴訟があります。
例えば、相続人の一人が遺産分割協議書を偽造した場合、他の相続人の相続分不存在証明書を偽造し、これを利用して相続登記がされた場合などには、遺産分割協議が不存在とされます。

遺産分割協議不存在確認の訴訟は、原則として、訴訟の提起前に、まずは調停を申し立てる必要があるとされています。

遺産分割協議無効確認の調停・訴訟

遺産分割協議の無効を主張する訴訟として、遺産分割協議無効確認の訴訟があります。
遺産分割協議が無効となるのは、遺産分割協議に参加した相続人の意思表示に錯誤・詐欺・強迫などがある場合、相続人の一部が除外された協議である場合、遺産のうち重要な財産を脱漏した場合などが考えられます。

遺産分割協議無効確認の訴訟は、原則として、訴訟の提起前に、まずは調停を申し立てる必要があるとされています。

弁護士にご相談ください

遺産分割協議の存否・効力に関する争いがあるときは、これを解決したうえで、遺産分割協議の不存在・無効が確認されれば、改めて遺産分割の手続に臨むこととなります。
解決のための手続は、法律の専門家でない方にとっては、非常に複雑なものであり、弁護士のサポートなしでは対応が困難です。
遺産相続をめぐる争いには様々なものがありますが、相続問題に精通した弁護士であれば適切な解決に導くことが可能です。
遺産相続の問題でお困りの方がいらっしゃいましたら、まずは相続問題に詳しい弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

遺産分割の前提問題に関する争いについてはこちらもご覧下さい

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