使い込まれた預金を回復する方法

法定相続人の誰か(あるいはその他の第三者)が被相続人の預金を使い込んでいて、その回復(返還)を請求したいとお考えの方はいらっしゃいませんか?

被相続人の預金の払戻が被相続人の意思に反して行われていたときは、法定相続人は、払戻を行った者に対し、その返還を請求することができます。法律的には、不法行為による損害賠償請求権(故意または過失により生命・身体・財産を侵害された人が、加害者にその損害の回復を求める権利)、あるいは、不当利得返還請求権(法律上の理由なく他人の損失によって利得を得た者に対し、損失を被った人がその利得の返還を求める権利)を行使することで、回復を図っていくことになります。

被相続人の預金の払戻が被相続人の意思に反して行われていたかどうかですが、例えば、預金の払戻状況が、毎日のように間断なく払い戻され、合計で何千万円にも上るといった場合には、被相続人の意思に反する使い込みと認められやすいでしょう。また、被相続人が重度の認知症や入院・寝たきりの状況で、預金の払戻が行われているといった場合には、被相続人の意思に反する使い込みと認められやすいでしょう。これに対し、例えば、被相続人の預金の払戻の頻度が月に1回・10万円程度であり、被相続人の生活費や経費に使ったと合理的に推認される場合や、その他どうしても立証が困難な場合には、被相続人の意思に反する使い込みと断定することができず、あきらめざるを得ないでしょう。

使い込まれた預金の返還請求は、示談交渉や訴訟での解決を図るのが原則です。この点、遺産分割調停の中で預金の使い込みの問題も解決できないかといったご相談もあります。確かに、遺産分割調停の当事者全員が、遺産分割調停の中で預金の使い込みの問題も解決することに同意すれば、そのような扱いも可能です。しかし、そのような合意ができない場合は、示談交渉や訴訟といった別手続での解決を図ることになります。なぜなら、遺産分割とは「現に」存在する遺産をどう分割するかの手続であるところ、使い込まれて失われた預金は遺産分割の対象とはならないからです。

請求手続の流れ

1 預金の使途の説明を求める

まずは、払い戻された預金の使い道について、説明を求めます。証拠となるように、内容証明郵便を送付する形で行うのが通常です。

2 示談交渉を行う

被相続人の預金の払戻が被相続人の意思に反していたと認められるときは、その返還を請求し、示談交渉による解決を試みます。

3 訴訟を提起する

示談がまとまらないときは、地方裁判所に訴訟を提起します。訴訟では、当事者同士がお互いの主張・立証を尽くしたあと、必要であれば当事者や証人の尋問をし、判決へと進んでいきます。ただし、判決に至るまでのいずれかの段階で、裁判官から当事者同士の主張や証拠関係を踏まえて和解(当事者同士の合意による解決)の勧告があり、和解で決着することも多いです。

弁護士へのご相談を

被相続人の預金の使い込みについて、返還請求をお考えの方は、まずは専門家である弁護士にご相談ください。被相続人の預金の払戻が被相続人の意思に反して行われていたかどうかの立証の問題や、示談交渉や訴訟といった複雑で難しい手続への対応など、ご自身だけで判断して対応することには危険を伴います。弁護士のサポートのもとに、解決を図っていくのがベストです。

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