請求を受けた場合の対応

被相続人の生前に預金を使い込んだとして、他の法定相続人やその代理人となった弁護士から、説明や返還を求める書面が送付され、お困りの方はいらっしゃいませんか?

このような書面が来たときは、放置するのではなく、対応を弁護士にご相談いただくことをお勧めします。
ここでの通知書に対する回答と、後々の訴訟での回答が食い違っていると、裁判官に「この人の言っていることは、信用できない」との心証を持たれるおそれがあるため、回答内容は慎重に検討しなければなりません。

反論の種類

被相続人の預金を払い戻したのがご自身の場合であっても、正当な理由があると認められるときは、返還に応じる必要はありません。
例えば、次のような場合です。

①被相続人から頼まれて預金を払い戻し、被相続人に渡した。
ただし、払い戻した金額が多額である場合などは、この主張は苦しくなります。

②被相続人から頼まれて預金を払い戻し、被相続人の必要経費に使った。
領収証などの証拠資料を提出しながら、この主張を裏付けていくことになります。

③被相続人からもらった。
ただし、払い戻した金額が多く、被相続人がそのような多額の贈与をする動機に乏しい場合などには、この主張は苦しくなります。

④被相続人の指示を受けて、孫などに渡した。
③と同様です。

これらは、いずれも、親族間のことであるため、客観的な証拠に乏しいことが多いです。
しかし、前後の主張が食い違ったり、後々矛盾する証拠が相手方から提出されたりした場合には、苦しい立場に陥りますので、反論は慎重に検討するべきです。

なお、被相続人の預金の払戻について、正当な理由がない場合は、ある程度の金額を返還することを覚悟するべきです。
その前提で、より有利な和解を目指していくのが基本となります。

弁護士を立てて対処しましょう

被相続人の生前に預金を使い込んだとして請求を受けた場合は、預金の払戻状況や手持ちの証拠関係を踏まえて、訴訟での見通しを立てつつ、回答内容や反論を検討していかなければなりません。
また、示談交渉や訴訟においては、適切な着地点を見据えながら、複雑な手続に対応していくことも必要となってきます。
正当な理由がない預金の使い込みと認めざるを得ない場合は、ある程度は返還する方向で、より有利な和解を目指すといった難しい判断を迫られることもあります。
したがって、専門家である弁護士にご相談いただいたうえで、弁護士を代理人に立てて対処していくのがベストと言えます。
被相続人の預金の払戻について説明や返還を求められてお困りの方がいらっしゃいましたら、まずは弁護士にご相談いただければと存じます。

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