生前贈与を受けた場合であっても、相続放棄をすることは可能です。

ただし、被相続人に借金があることを知りながら生前贈与を受け、被相続人の死亡後に相続放棄をした場合には、債権者が詐害行為取消権(民法424条)を行使する可能性があるため、注意が必要です。

詐害行為取消権とは、債務者が債権者を害することを知ってした行為について、債権者がその行為の取消しを裁判所に請求することができる、というものです。
一方で、詐害行為取消権は、法律上、その行為によって利益を受けた者(受益者)がその行為の時において債権者を害することを知らなかった場合には、行使することができないとされています。

以上を踏まえると、被相続人に借金があることを被相続人および相続人が知りながら、借金だけを免れて財産を相続人に移転させるような生前贈与を行った場合には、後々債権者から詐害行為取消権の行使を受け、生前贈与が取り消されてしまう(その結果、生前贈与された財産が債権者に対する支払にあてられることとなる)リスクがあるということになります。

被相続人に借金があることを知りながら生前贈与を受けることは、後々深刻なトラブルに巻き込まれるおそれがありますので、お控えいただくべきであると考えられます。