遺言無効確認請求の訴訟によって、遺言書の効力を争うことができます。
遺産相続をめぐる紛争のひとつに、遺言書の効力に関する争いがあります。
遺言書は、被相続人が認知症にかかるなどして、十分な意思表示ができないという状況で作成されたものであれば、無効となる可能性があります。
そのため、遺言書の効力が争いとなるケースがあるのですが、例えば「長男に全財産を相続させる」という遺言書があったとして、長男がその遺言書が無効であると認めることは通常あり得ませんから、話し合いで解決することは基本的に困難です。
そこで、このような遺言書の効力に関する争いを解決するための手続として、遺言無効確認請求の調停・訴訟があります。
家事事件手続法上、遺言の効力を争うときには、いきなり訴訟(裁判)を提起するのではなく、遺言無効確認請求の調停を申し立てる必要があるのが原則です。
そして、調停によって遺言書の効力に関する争いが解決できなかった場合には、遺言無効確認請求の訴訟を提起して決着を図るという流れが一応の基本となります。
しかし、調停もあくまで話し合いの手続であり、上記のように遺言書の効力に関する争いが話し合いで解決することはあまり期待できませんので、実務上は、調停の申立てを経ずに最初から遺言無効確認請求の訴訟を提起するのが一般的な運用です。
遺言無効確認請求の訴訟では、遺言の無効を主張する者が、遺言が無効であることの原因事実を主張し、その主張を裏付ける証拠を提出して証明する必要があります。
具体的には、被相続人の医療記録などを提出し、遺言書作成時の意思表示能力を争うこととなるのが通常であり、その他、遺言書の作成経緯や遺言書の内容の合理性などが主張されることが多いです。