
「相続分の放棄」とは、相続人が遺産に対する相続分の取得を放棄することを言います。
民法上、相続分の放棄に関する規定はありませんが、実務上、行うことが認められています。
相続分の放棄は、相続放棄とは異なり期限はありませんが、相続放棄のように債務(借金)の負担を免れることはできません。
遺産分割調停において、家庭裁判所から各相続人に対して意向確認の通知書が送付された際に、遺産の取得を希望しない相続人が相続分を放棄する旨の意思表示をすることがあります。
このように相続分の放棄をした相続人がいる場合、他の相続人の相続分はどうなるのでしょうか?
被相続人が死亡し、配偶者、兄弟姉妹1名、すでに死亡した兄弟姉妹の子である甥姪3名が相続人となるケースで考えてみましょう。

このケースでは、配偶者の相続分が3/4、兄弟姉妹①の相続分が1/8、甥姪①②③の相続分がそれぞれ1/24となります。
これを前提に、兄弟姉妹①と甥姪③が相続分の放棄をしたケースで考えてみましょう。

この点、相続分の放棄がなされた場合、放棄者が有していた相続分を、他の相続人がその相続分に応じて取得することとなります。
具体的な計算方法としては、「他の相続人の各相続分×他の相続人全員の各相続分の合計の逆数」となります。
上記のケースについて見ると、相続分の放棄をした兄弟姉妹①の相続分が1/8、甥姪③の相続分が1/24であるところ、放棄者全員の各相続分の合計は1/8+1/24=1/6となります。
そうすると、他の相続人全員の各相続分の合計は1-1/6=5/6であり、その逆数は6/5となります。
そして、この6/5を他の相続人の各相続分に乗じることにより、他の相続人の最終的な相続分が以下のとおり算出されます。
配偶者:3/4×6/5=9/10
甥姪①:1/24×6/5=1/20
甥姪②:1/24×6/5=1/20
なお、遺産を相続しないための放棄には、「相続分の放棄」と「相続放棄」の2種類があり、それぞれ効果が異なります。
相続放棄がなされた場合については、以下の関連Q&Aをご覧ください。











