孫の学費の援助は、原則として特別受益になりません。
なぜなら、特別受益の対象となるのは相続人である子であり、孫は対象者とならないのが原則であるからです。

ただし、孫の学費の援助が実質的には相続人(子)に対する贈与であると評価される場合には、特別受益となる可能性があります。

例えば、相続人(子)の家計が苦しく孫の学費を用意できないため、被相続人(親)が相続人(子)の家計を助けるために資金を援助したのであれば、特別受益になると判断されるでしょう。

また、相続人(子)が孫を残して家出したため、被相続人(親)が孫の大学の学費や生活費を援助した事案で、実質的には相続人(子)が被相続人から援助を受けたものと変わらないと評価し、特別受益を認めた裁判例があります(神戸家庭裁判所尼崎支部昭和47年12月28日審判)。