基本的には、遺産分割が成立するまでの間に支出した必要経費について、他の法定相続人にも負担を求めることができます。
しかし、当該不動産に自分自身が居住している場合には、他の法定相続人に対して負担を求めることは難しいでしょう。
なお、遺産分割が成立したあとは、当然ながら、当該不動産を取得した法定相続人が必要経費を負担していくこととなります。

被相続人が死亡すると、遺産分割が成立するまでの間、遺産である不動産は、法律上、法定相続人全員による共有状態になります。
そのため、基本的には、遺産分割が成立するまでの間にかかった修繕費用、草刈り費用、固定資産税など不動産の維持管理に必要な費用については、法定相続分に応じて、各法定相続人が負担することになります。
よって、法定相続人の一人がこれらの費用を立て替えた場合、他の法定相続人にも負担を求めることができます。
なお、実際には、その後、当該不動産も含めた遺産分割が行われることになると思われますので、他の法定相続人に対して、その都度請求するというより、遺産分割の際に代償金という形で清算する方が簡便でしょう。

もっとも、法定相続人の一人が遺産の一部である不動産に居住している場合には、少し事情が異なります。
このような場合に発生する不動産の修繕費用、草刈り費用、固定資産税などの必要経費は、単に遺産の維持管理を目的としているという意味合いを越えて、当該法定相続人が自分自身の居住環境の維持管理のために支出している、という側面をも含むためです。
住居に関する必要経費は、本来、法定相続人が遺産とは関係のない不動産に居住していた場合には、当然に自分だけで負担しなくてはならないものです。
これに対して、遺産の一部である不動産に居住している場合に、居住の利益を受けているにもかかわらず、他の法定相続人に対して必要経費の負担を求めることができるとなると、不公平が生じると考えられます。

このようなことから、他の法定相続人がこれらの必要経費の折半に応じるというのであればともかく、そうでない場合には、これらの必要経費の支出は、居住している法定相続人が単独で負うべきものであると判断される可能性が高いです。
そのため、他の法定相続人に対して負担を求めるのは難しいと考えられます。

なお、言うまでもなく、遺産分割が成立したあとは、当該不動産を取得した法定相続人が必要経費を負担することとなります。