1 背景
40代の男性から、遺産分割に関するご相談・ご依頼をいただきました。
依頼者の妻(被相続人)が死亡し、夫婦間に子がいなかったことから、相続人は配偶者である依頼者と、被相続人の両親(相手方)の3名でした。
法定相続分は、依頼者が3分の2、相手方が6分の1ずつ(合計3分の1)でした。
遺産としては、主に評価額が約170万円の建物(相手方が居住)と、残高が約200万円の預金がありました。
また、依頼者が受取人となった約600万円の生命保険金がありました。
遺産分割について相手方が弁護士を立ててきたことから、依頼者も弁護士に依頼して対応したいとのことで、当事務所にご相談・ご依頼いただきました。
2 当事務所の活動と結果
当事務所の弁護士は、依頼者のご希望に従って、相手方が居住する評価額が約170万円の建物を相手方が取得し、その余の遺産を依頼者が取得するという条件の分割案を提示しました。
これに対し、相手方の弁護士は、依頼者が受取人となった約600万円の生命保険金について、特別受益に当たるから遺産分割の計算に組み入れるべきであるとの主張をしてきました。
そこで、当事務所の弁護士は、約600万円の生命保険金がそれほど大きな金額ではなく、裁判例の考え方に照らせば特別受益には該当しないと反論し、相手方の弁護士の主張を争っていきました。
しかし、相手方の弁護士が当事務所の弁護士の反論を受け入れなかったことから、当事務所の弁護士は家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てて解決を求めることとしました。
遺産分割調停でも、双方の弁護士から、従前と同様の主張・反論が展開されました。
そして、裁判官からは、生命保険金の額が約600万円にとどまること、被相続人・依頼者・相手方の関係性および生活状況などを踏まえれば、当方の主張に分があるとする心証が開示されました。
これを踏まえ、約600万円の生命保険金を特別受益として取り扱わないことで双方が合意し、依頼者の当初からのご希望どおりの内容で遺産分割調停を成立させることができました。
3 所感
相続人の一人が受取人となっている生命保険金は、その相続人の固有として遺産分割の対象とはならないのが原則です。
一方で、生命保険金の額および遺産総額に対する比率、被相続人および各相続人の関係性、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮し、相続人間の不公平が著しいものと評価すべき「特段の事情」がある場合には、特別受益に準ずる取り扱いをするものと考えられています。
本件では、このような「特段の事情」の有無が争点となりましたが、当事務所の弁護士が適切な主張・立証を行ったことにより、特別受益に準ずる取り扱いは否定され、依頼者の希望どおりの解決を得ることができました。
相続の事案では、このような複雑な争点が発生する例もよく見られるため、相続問題に詳しい弁護士にご相談・ご依頼いただくのがよいと存じます。
当事務所では、相続問題に関する対応経験・解決実績が豊富にございますので、相続人ついてお悩みの方はお気軽にご相談ください。
4 お客様の声
最後まで親身にご対応いただきありがとうございました。
おかげ様で希望した条件どおりにまとめていただきました。
感謝申し上げます。
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