1 背景

50代の男性から、亡くなってから半年ほどが経過している父(被相続人)について、最近になって、被相続人が負う損害賠償の支払義務に関する請求を受けたので、その対応について聞きたいとのことでご相談いただきました。

お客様は、被相続人とは子どもの頃から離れて暮らしていて、長年音信不通の状態にあったため、被相続人の生活状況や財産状況を全く知りませんでした。
そして、被相続人が亡くなったことは死亡当時に親戚から聞きましたが、死亡に伴う公的な手続以外は、特に対応することはないとの認識で過ごしていました。
そうしたところ、被相続人が亡くなってから半年ほど経過した最近になって、お客様は、突然、被相続人が負う損害賠償の支払義務を「相続人に支払ってもらいたい」との請求を受けました。

お客様としては、この損害賠償の請求に対して、どのように対応したらよいかとのご相談でした。
当事務所の弁護士が、相続放棄の熟慮期間である3か月を経過した後であっても相続放棄が認められる場合があることを説明し、相続放棄の手続をご依頼いただくこととなりました。

2 当事務所の活動と結果

当事務所の弁護士は、お客様の代理人として、これまでのお客様と被相続人との状況、お客様がプラスの財産を取得したことはないこと、被相続人の損害賠償の支払義務の存在をこれまで知らなかったことについて「相当の理由」があることを内容とする具体的な事情を記載した申述書を作成して、相続放棄の手続を行いました。
その結果、無事、家庭裁判所で相続放棄の申述が受理されて、お客様は損害賠償の支払義務を免れることができました。

3 所感

相続放棄の手続(申述)は、被相続人が亡くなったことを知ってから3か月という熟慮期間内に行わなくてはなりません。
もっとも、本件のように、3か月以内に相続放棄を行わなかったことについて「相当の理由」があることを的確に主張できれば、例外的に、3か月を経過した後であっても相続放棄が認められます。
はじめから相続するつもりがない場合には、3か月以内に相続放棄を行っておくのがベストですが、後に請求を受けて初めて相続放棄の必要性に気付くケースも少なくありません。
3か月経過後の相続放棄の可否については、専門的な判断が必要となりますので、まずは弁護士にご相談いただくのがよいでしょう。

4 お客様の声

色々と知らないことばかりで不安でしたが、親身な対応と、分かりやすい説明で相談して良かったと思っています。
結果についても満足しました。

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