1 背景

40代の男性から、亡くなってからすでに2年以上経過している父(被相続人)について、最近になって多額の未払いの税金があることが発覚したとして、その対処などについてご相談いただきました。

お客様は、父が亡くなった当時、父とは離れて暮らしていたため、財産状況を知らず、遺産としては当時父が住んでいた不動産くらいしかないと思っていました。
その不動産については、父とともに暮らしていたお客様の兄が相続するのが適当であるとして、お客様は、不動産の相続分を放棄するという内容の書面を作成していました。
しかし、お客様は、相続放棄の手続(申述)をしていませんでした。

そして、父が亡くなってから2年以上経過した最近になって、お客様は、兄から突然、「父には約500万円の未払いの税金があって、そのことで税務署から手紙が来ている」との連絡を受けました。
お客様が税務署に確認したところ、確かに未払いの税金があるとの回答を受け、そこで初めて父に負債があったことを知りました。

お客様としては、この税金の支払いを免れる方法はないかとのご相談でした。
当事務所の弁護士が、相続放棄の熟慮期間である3か月を経過した後であっても相続放棄が認められる場合があることを説明し、相続放棄の手続をご依頼いただくこととなりました。

2 当事務所の活動と結果

当事務所の弁護士は、お客様の代理人として、次のような具体的な事情を記載した申述書を作成して、相続放棄の手続を行いました。
具体的な事情としては、これまでの経緯を説明した上で、お客様がプラスの財産を取得したことはないこと、父の未払いの税金の存在をこれまで知らなかったことについて「相当の理由」があることなどを主張しました。
その結果、無事、家庭裁判所で相続放棄の申述が受理されて、お客さまは税金の支払いを免れることができました。

3 所感

相続放棄の手続(申述)は、被相続人が亡くなったことを知ってから3か月という熟慮期間内に行わなくてはなりません。
もっとも、3か月以内に相続放棄を行わなかったことについて「相当の理由」があれば、例外的に、3か月を経過した後であっても相続放棄が認められる場合があります。
本件では、この「相当の理由」があることを的確に主張したことで、無事に相続放棄が認められ、多額の負債を免れることができました。

4 お客様の声

自分一人ではできないと思い相談して良かったです。
結果も満足しています。

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