1 背景

60代の男性(お客様)から、亡くなった祖父(被相続人)の遺産分割について、ご相談いただきました。
被相続人の遺産のうち、お客様が店舗として使用していた不動産が遺産分割未了の状態でした。
お客様が取得する内容での遺産分割を持ちかけているものの、遺産分割に協力的ではない相続人がいて協議が進まないということでご相談をいただきました。
不動産をお客様が取得することについて、お客様を除いた8名の相続人からはすでに同意を得ていましたが、残り5名については、明確な回答がない方や代償金の金額について納得できない方がおり、同意が得られていない状況とのことでした。

この状況を打開しなんとかして解決したいとのことで、当事務所にご依頼いただきました。

2 当事務所の活動と結果

当事務所の弁護士は、お客様のご意向に基づき、相続人全員に対し、不動産をお客様が取得すること、その法定相続分に従った代償金を支払うことに理解と協力を求める内容の手紙を送付しました。

しかし、これに応じていただけない相続人の方がいらっしゃったため、家庭裁判所に遺産分割調停手続を申立てて進めていくこととしました。

遺産分割調停手続では、相続分をお客様に譲渡する相続人や相続分を放棄する相続人がいたため、手続に残った相続人との間で、手続を進めていきました。
そして、相続人の方のなかには、裁判所への出廷が困難な方もいらっしゃったため、結果として調停に代わる審判がなされました。
審判では、お客様が不動産を取得すること、お客様が支払う代償金の金額が定められました。

なお、本件では、相続開始後、法定相続分に従った登記がなされた後、遺産分割によらずに、特定の相続人の持分を相続人以外の人物(お客様の配偶者や子)に譲渡する旨の登記手続がなされていた、一般的には珍しいケースでした。
お客様が遺産を取得する旨の合意ができたとしても、このような事情を考慮した内容で審判条項が作成されなければ、実際に不動産の登記手続を行うことができません。
そのため、当事務所の弁護士は、提携している司法書士及び法務局に相談したうえで、お客様が不動産を取得するにあたって、審判条項に記載されなければならない事項を裁判所に連絡して進めていました。

3 所感

本件のように、二次相続が発生しているような場合、相続人の中には遺産分割手続に協力的ではない相続人がいるケースもあります。
このような場合に、話し合いで解決できなければ、裁判所の調停手続を利用せざるを得ません。
弁護士に依頼すれば、手続の対応や書面の作成を弁護士が行うこととなるため、ご自身で行う場合に比べてご負担を大きく軽減できます。

また、遺産に不動産が含まれている場合に、遺産分割ができたとしても、これを登記に反映できなければ、二度手間、三度手間になりかねません。
当事務所の弁護士にご依頼いただければ、他の専門職と協力しつつ、登記に反映できないリスクなく遺産分割を調停手続や審判手続で成立させることができます。