相続人の1人が生命保険の保険金受取人とされ、生命保険金を受け取った場合に、特別受益になるのか?という問題があります。
この点、生命保険の保険金受取人である相続人が保険金を受け取ったとしても、特別受益とはならないのが原則です。

なぜなら、保険金の受け取りは、特別受益の対象となる贈与・遺贈ではなく、保険契約に基づいて取得する受取人固有の権利であると考えられているからです。

しかし、例えば、遺産は少額であるにもかかわらず、生命保険金が多額である場合には、相続人間で不公平が生じてしまいます。

そこで、生命保険の保険金受取人である相続人と、その他の相続人との間で著しい不公平が生じるような特段の事情が認められる場合には、生命保険金が特別受益として取り扱われることもあります。
そのような特段の事情の有無の判断では、生命保険金の金額、生命保険金の金額と遺産総額の比率、保険金受取人と被相続人との関係性、介護に対する貢献の度合いなどが考慮されることとなります。

裁判例では、相続人が子2人、遺産総額が約1億円であり、子のうち1人が生命保険金として1億円を受け取った事案で、生命保険金を特別受益と認めた例があります。