遺留分減殺請求における価額弁償とは

遺留分減殺請求を行う際に、請求する側は減殺(返還)の対象となる財産を指定することはできません。これに対して、請求された側では、減殺対象価格分の金銭を支払うことによって、遺産の返還を免れることが可能となります。これを価額弁償と言います。

また、価額弁償をする場合には、遺留分全体ではなく、特定の財産に限って価額弁償を行うことも可能です。例えば、遺産の中に自社株式があり、請求者にこの自社株式を渡したくないという場合には、この自社株式に限って価額弁償を行うことによって、代償金の支払額を抑えつつ、自社株式を守ることができるわけです。

価額弁償における対象財産の価格の算定時期

価額弁償をする場合の対象財産の価格は、現実に弁償がなされるときが算定基準時であるとされています。遺留分減殺請求の訴訟が提起された場合には、事実審の口頭弁論終結時となります。

つまり、遺留分減殺請求の意思表示を行った時点では対象財産の価格が6000万円であったとしても、現実に価額弁償がなされる時点では5000万円なのであれば、5000万円を基準として価額弁償の算定がなされることとなります。

価額弁償における遅延損害金の起算点

法律上、金銭の支払義務があるのに支払をしない場合には、年5%の遅延損害金が発生します。そして、価額弁償における遅延損害金の起算点については、遺留分権利者が価額弁償請求権を確定的に取得し、かつ、弁償金の支払を請求した日の翌日であるとされています。

すなわち、価額弁償のケースで遅延損害金を請求する場合には、請求された側が価額弁償の意思表示をするだけでなく、請求する側において弁償金の支払を請求する意思表示をする必要があるのです。

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