相続人が被相続人から特別受益を受けた場合、被相続人の死亡前10年以内に行われた生前贈与であれば、遺留分を算定するための財産価格を決める際にカウントされます。
一方で、被相続人の死亡から10年以上前の生前贈与については、カウントされません。
また、遺留分侵害額請求に当たっては、遺留分から、生前贈与を受けた金額を差し引くこととなります。
ここで差し引かれる生前贈与を受けた金額については、10年の制限がありません。

例えば、被相続人には相続人として3人の子(A、B、C)がおり、死亡時の遺産が5000万円であったとします。
そして、Aにすべての遺産を相続させるという被相続人の遺言書があり、BおよびCが被相続人の死亡前10年以内にそれぞれ500万円の生前贈与を受けていたとします。
この場合、遺留分を算定するための財産価格としては、5000万円+500万円+500万円=6000万円となります。
そうすると、BおよびCにそれぞれ認められる遺留分は、6000万円×(1/2×1/3)=1000万円となります。
そして、BおよびCはそれぞれ500万円の生前贈与を受け取っているため、遺留分侵害額請求に当たっては、それぞれ1000万円-500万円=500万円の請求ができるという結論になります。

また、例えば、被相続人には相続人として3人の子(A、B、C)がおり、死亡時の遺産が4500万円であったとします。
そして、Aにすべての遺産を相続させるという被相続人の遺言書があり、BおよびCは被相続人が死亡する20年前にそれぞれ500万円の生前贈与を受けていたとします。
この場合、遺留分を算定するための財産価格は、4500万円です。
BおよびCが受けた生前贈与は、10年の制限にかかるため、この部分の計算ではカウントされません。
そうすると、BおよびCにそれぞれ認められる遺留分は、4500万円×(1/2×1/3)=750万円となります。
そして、BおよびCはそれぞれ500万円の生前贈与を受け取っているため、遺留分侵害額請求に当たっては、それぞれ750万円-500万円=250万円の請求ができるという結論になります。
この部分の計算では、10年の制限が適用されないため、生前贈与を受けた金額を差し引くのです。