遺留分侵害額請求は、法律上、特別な方法や手続によることは求められていません。
当事者間の話し合い・交渉、これで解決できない場合には、裁判所の調停、裁判(訴訟)を利用することができます。

内容証明郵便での請求、交渉

遺留分侵害額請求権の時効期間は、1年以内という、とても短い期限となっています。
ですから、遺留分侵害の疑いがあるときには、速やかに、相手方に対して、遺留分侵害額請求権を行使するという意思表示をしておくべきです。
そして、期限内に意思表示を行った証拠を残しておくためにも、配達証明付きの内容証明郵便を用いるべきです。

内容証明郵便を送ったら、まずは、相手方との間で話し合い・交渉をするのが通常でしょう。
具体的な遺留分の侵害額を示しての話し合い・交渉となりますから、遺留分の算定が必要となります。
詳しくは、「遺留分の算定」のページをご覧ください。
なお、内容証明郵便を送った後も、具体的な金銭請求の権利は5年で時効にかかってしまいますので(2020年3月31日以前に内容証明郵便を送った場合は10年)、できる限り早く話し合い・交渉に向けて進めるようにしましょう。

遺留分侵害額請求調停

当事者間の話し合いで解決できない場合は、家庭裁判所に対して、遺留分侵害額請求調停を申し立てて、遺留分侵害額請求を行うことができます。
遺留分に関する事件は、調停前置主義がとられていますので、いきなり裁判を起こすのではなく、まずは家庭裁判所で調停をすることが原則となっています。

調停では、裁判官や調停委員を間に入れて、話し合いをすることになります。
調停委員は、財産状況などを当事者双方に聞いて、資料の提出を求めますので、ここで、遺留分の侵害状況が見えてくることもあります。

遺留分侵害額請求訴訟

調停でも話がまとまらない場合には、調停は不成立となります。
その場合には、裁判を起こして決着をつけることになります。
なお、この遺留分侵害額請求訴訟は、家庭裁判所ではなく、地方裁判所・簡易裁判所で行われます。
裁判においては、両当事者がそれぞれ主張をし、証拠を出して立証していくことになります。

法的手続をとれば、遺留分を受け取ることができる可能性は高いです。
しかし、そもそも遺留分の算定をすることは容易ではありませんし、調停・訴訟の対応は、ご自身だけでは負担が大きいでしょう。
この点、相続に精通した弁護士に依頼すれば、内容証明郵便の送付から、遺留分の算定、相手方との交渉や調停・訴訟の対応まで、安心して任せることができます。

遺留分についてはこちらもご覧ください

●遺留分と遺留分侵害額請求
●遺留分侵害額請求するには
●遺留分侵害額請求をされたら
●遺留分の権利者は誰か
●遺留分侵害額請求の効果
●遺留分の割合
●遺留分の算定
●遺留分と特別受益・寄与分
●遺留分侵害額請求の手続
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