総体的遺留分と個別的遺留分

遺留分の割合は、遺留分権利者(遺留分を請求できる相続人)の構成や、遺留分権利者の人数によって異なってきます。

遺留分権利者全体に残されるべき遺産全体に対する割合を「総体的遺留分」といいます。
この総体的遺留分は、次のように、遺留分権利者の構成によって異なります。

① 直系尊属のみが相続人である場合
⇒ 遺産の3分の1が遺留分
② それ以外の場合
⇒ 遺産の2分の1が遺留分

そして、遺留分の権利者が複数いるときには、「総体的遺留分」をそれぞれの法定相続分の割合で配分します。
これを「個別的遺留分」といいます。

個別的遺留分 = 総体的遺留分 × 法定相続分の割合

ケース別遺留分の割合

遺留分の割合は、遺留分権利者の構成別に、次のとおりとなります。
兄弟姉妹のみの場合は、遺留分はありません。

配偶者と子

遺留分1

配偶者と直系尊属

遺留分2

配偶者と兄弟姉妹

遺留分3

*兄弟姉妹は0
配偶者のみ

遺留分4

子のみ

遺留分5

直系尊属のみ

遺留分6

遺留分割合算定の具体例

相続人が配偶者(A)と子ども3人(B、C、D)の場合、それぞれの相続人の遺留分の割合(個別的遺留分)はどうなるでしょうか。

総体的遺留分 法定相続分 遺留分の割合
 A ⇒   1/2    ×   1/2    =  1/4
B ⇒   1/2    × 1/2×1/3 =  1/12
C ⇒   1/2    × 1/2×1/3 =  1/12
D ⇒   1/2    × 1/2×1/3 =  1/12

もし、被相続人が9000万円の遺産すべてを、第三者に贈るという遺言をしていた場合、それぞれの相続人は、次の金額について遺留分侵害額請求することができます。

A ⇒ 9000万円 × 1/4  = 2250万円
B ⇒ 9000万円 × 1/12 =  750万円
C ⇒ 9000万円 × 1/12 =  750万円
D ⇒ 9000万円 × 1/12 =  750万円

また、被相続人が9000万円の遺産のすべてを、Bに相続させるという遺言をしていた場合、上記と同様の計算により、Aは2250万円、CおよびDは各750万円について、それぞれ、Bに対して遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分についてはこちらもご覧ください

●遺留分と遺留分侵害額請求
●遺留分侵害額請求するには
●遺留分侵害額請求をされたら
●遺留分の権利者は誰か
●遺留分侵害額請求の効果
●遺留分の割合
●遺留分の算定
●遺留分と特別受益・寄与分
●遺留分侵害額請求の手続
●遺留分侵害額請求の期限
●遺留分の権利者でなくなる場合
●遺留分の放棄について
●遺留分の争いを防止する方法
●遺留分の譲渡